2017年12月21日

EVF見学会報告:電力中央研究所

・見学会開催日時 : 平成29年12月21日(木)10:00〜12:00
・見学先     : 電力中央研究所 我孫子地区
            〒270-1194 千葉県我孫子市我孫子1646 
・URL     : http://criepi.denken.or.jp
・参加者数    : 14名

今回は電力中央研究所6事業所の内、我孫子地区を見学しました。我孫子地区には研究所として地球工学研究所、環境科学研究所があります。今回は数ある研究施設の中の「電磁界暴露装置」、「高経年化コンクリート構造性能試験システム」、「津波・氾濫流水路」、「空気力載荷装置」の4種類の研究施設を見せて頂きました。最初に、電力中央研究所の全体像、我孫子研究所建設の歴史、機能的特徴・能力等などについてスライドで勉強した後、実地見学を行いました。
 
1 . 電力中央研究所の全体像
電力中央研究所は大手町地区、横須賀地区、我孫子地区、狛江地区、赤城試験センター塩原実験場の6事業所で構成されている。研究の分野は、原子力発電、火力発電、水力発電、電力流通、需要家サービス、環境、事業経営、共通分野横断、と広範囲に亘っている。
創設以来60年以上に亘って、工学・理学・社会科学など多様な分野の専門家が連携して、電気事業にかかわる研究開発を行なっている。2017年度の要員は744名(うち博士が398名)、事業規模は298億円で大半は電力会社からの寄付金で賄われている。
当我孫子地区は1957年に農電研究所として設置されその後1986年に我孫子研究所として改称した。

2. 今回の見学施設
 2−1 電磁界暴露装置
CIMG6355-2.JPG    当施設では電磁界が生物に与える影響の評価を行なっている。中間周波数帯(300Hz〜10MHz)を使う家電製品や産業用機器から発生する磁界、送配電線などから発生する商用周波数帯(50、60Hz)の磁界について調べている。装置には金属材料を使うことが出来ないため、木材とプラスティックで作られている。
塩化ビニール製の箱に、大腸菌、受精鶏卵、等々を入れて均一な磁界を浴びせ、生殖や発生への影響を調べている。対象グループと磁界暴露グループを比較し、両グループの差が磁界によるものか生物個体のばらつきによるものかを調べたが、統計的な優位差を見出すことはできなかった。

 2-2 高経年化コンクリート構造性能試験システム
CIMG6359-2.JPG    電力施設の高経年化したコンクリート構造物の信頼性向上に役立てるため、コンクリート構造物の環境作用による材料的な劣化と荷重作用による構造的な損傷の相互作用の影響や、これらが材料・構造的性能に与える影響を解明している。この設備は「コンクリート製造・養生室」、「環境作用負荷装置」、「荷重作用負荷装置」からなっている。見学では「環境作用負荷装置」の扉を開けて中に上半身を入れさせて頂いたが、高温・高湿度の環境のためあっという間にメガネが曇ってしまい実験環境の厳しさを体感できた。

 2−3 津波・氾濫流水路
CIMG6362-2.JPG大規模津波が陸上に遡上した時の流れを再現し、津波に対する個々の施設・機器・建屋の頑強性を評価する。模型縮尺による影響が小さい条件下で巨大津波の特徴を適切に再現する。当日は実験の様子を記録した動画で、本物の流木や軽自動車を津波に乗せて構造物に激突させて衝撃応力を測定する様子を見た。650トンのヘッドタンクから水を流し、ゲートにせき止めた状態から2.5秒でゲートを前開させ試験水路
内に津波の流れを再現させる。すさまじい津波の再現映像に息を飲んだ。

 2−4 空気力載荷装置
CIMG6374-2.JPGダムや送電設備などの電力施設の健全性を維持・確保するために、実験、現地観測、
数値シミュレーションを用いた評価手法や対策技術の開発を行なっている。見学では送電線への着雪による翼効果発生のため送電線が上下方向に動揺(ギャロッピング)する現地観測映像を見たが、太い送電線が鉄塔間で上下に大波の様に揺れる様子に驚いた。次にこの様子を再現した実験を見せて頂いた。風洞の大型ノズルから吹き出された風により模擬の送電線に動揺が発生する。これが発生すると動揺した送電線同士が干渉しショートに至る。送電線4本を適切な間隔に保ち、着雪が発生すると自動的に送電線のねじれ方向の傾きを調整することにより揺動発生を防ぐ雪害対策装置の効果などの説明があった。

CIMG6376-2.JPG見学により日本の電力に関する最先端の技術内容や基礎解析のすごさを認識し、日本人と
して誇らしい気持ちになりました。丁寧に電力中央研究所の全体説明をして下さった入江
真所長、および現場案内と個々の施設で技術的解説をして下さった稲田恵美子様に感謝申
し上げます。

以上   (文責:小栗武治)
posted by EVF イベント at 17:00 | TrackBack(0) | 日記
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